(小田原A・B邸家守。左がB邸のコアゼさん。右がA邸の平井さん)
ADDressの特徴は均質化されていない滞在体験。
観光だけではなく、家守やその土地にいる方々、同じようにさすらう会員同士の偶然の出会いから始まる交流の楽しさ。
家々の個性や偶然性を楽しむことこそが、このADDressのサービスを満喫するコツです。
家の個性を形にする、家守の存在。
今回は小田原B邸の家守、コアゼさんをご紹介します。
もともとバスの運転手だったというコアゼさん。
どのようにADDressの家守に辿り着いたのでしょうか。
そこには、小田原A邸の家守、平井さんの存在がありました。
(前回の小田原A邸、平井さんの記事はこちら)
ーーーADDressには、運営されているゲストハウスの1部屋を提供している形ですね
はい。Tipy records innなどいくつかのゲストハウスを運営しています。
もともと私は小田原でバスの運転手をしていました。
バスの運転手は、比較的長時間労働で70代までずっと現役で働くことが多いのです。
この先50年この仕事を続けるのか、と思ったときにイメージができませんでした。
副業も含めて何かできないかと探していたときに、バスの乗客から聞かれることに答えて会話することが楽しい、ということに気づきました。
例えば
「どこから富士山が見えますか?」
「箱根山頂までどんなルートがありますか?」
バスの運転手なら当たり前のように知っている情報を伝えることで、お客さんにすごく喜んでもらえる。
それが楽しくて、もっと人とコミュニケーションできる仕事をしたいと思うようになりました。
2018年当時は小田原にも海外から観光客がたくさん来ていたのでゲストハウスを運営してみよう、と。
小田原にあった空き家をリノベーションしてゲストハウスとしてオープンしました。
(運営しているゲストハウス、Tipy records innのエントランス)
Tipy records innはレコードや音楽をコンセプトに組み入れています。
具体的にはレコードやCDを持ってきてくれると500円割引になります。
コンセプト考えたきっかけは、僕個人の経験によるものです。
学生時代、レコードショップがとても楽しい場でした。いろいろな音楽に出会えて。
そこで育ったようなものです。
しかし時代の流れでどんどんレコードショップが消えていき、寂しく感じていました。
若い人がテンションが上がるような場を残したいと考えまして。
だからゲストハウスにレコードやCDが集まってくるような仕組みを作ったのです。
海外からのお客さんも多かったですし、一枚ずつでも持ってきてもらえれば、さまざまな音楽が集まるのではないかと。
集まったレコードやCDは、売るつもりでした。
けれど、集まったものを見たら売る気になれなかったのです。
レコードを提供してもらうときに、提供者に「レコードペーパー」というものを書いてもらいます。
どうしてそのレコードを手に入れたいと思ったか、どんな思い出があるのか。
レコードペーパーを読むと、音楽との出会いは人それぞれだし、音楽に対して感じるものも一人一人違う。
集まったレコードは売るのではなく、展示して作品にしようと思ったんです。
ゲストハウスは順調に運営していました。コロナになるまでは。
ADDressは2019年のクラウドファンディング時代から知っていて興味は持っていました。
小田原の平井さんが2020年5月に小田原A邸の家守を始めることになり、ADDressの会員にも会い、どんなサービスかも身近に感じるようになってきました。
ご存じのとおり、2020年以降コロナで海外からのゲストもぱたりと途絶え、国内の観光客も減り、売上が激減しました。本当に死活問題で。
部屋が空くならADDressに提供しようと、平井さんを通じて応募しました。
ーーーコロナで大変厳しい状況になりましたね
お客さんに来てもらうために、やれることは何でもやりました。
小田原はUberEatsが来ないんです。だから、小田原の飲食店のメニューを届けようと「ティピーのおつかい」として配達を実施したり。
ぽかぽか陽気の日に外で布団を干していたら「ここで寝たら気持ち良いかも?」と思い、中庭のデッキに布団を引いて「お昼寝」企画もやりました。
秋は宿の前で焼き芋を売ることも。
僕のやりたいことの暴走ですが、次々に始めてしまいました。
ーーー家守をやって変わったことはありましたか?ゲストハウスとはまた雰囲気が違いますか。
大きな違いは、ADDressは会員制なのでリピーターが増えることです。
その場だけの出会いではなく、再会を期待できる「またね」という感覚があります。
会うときの会話も、「どの家に行かれましたか?」「あの会員さん知ってますか?」「あの家守さん元気でしたか?」など共通の知り合いが話題になる安心感があります。心の距離が近づきますね。
中には、ゲストハウスに泊まっていたお客さんがADDressの存在を知り、ADDress会員となってしばらくADDressLifeを楽しんだ後、小田原が気に入って3カ月で移住に至ったケースもありました。
僕は小田原への移住サポートも行っているのですが、最近移住希望者も増えてきています。
コロナ禍で出社が減っている背景もあり、都内まで新幹線で32分という小田原が移住先として検討されるようになってきたのだと思います。
(コアゼさん出演の動画「小田原でみつけたもの」)
ーーー小田原B邸でのおすすめの過ごし方はありますか
小田原B邸は静かで集中できる個室があります。ADDress直轄の家と比べてゲストハウスなので共有スペースは少なく、小田原A邸と比べても交流は少なめかもしれません。
ADDressをまわって交流に疲れたら小田原B邸で静かに個室で寛ぐ、という過ごし方もできますよ。
集中して何かをやりたい人にもおすすめですね。
(個室。ツインベッドとデスク、チェアがある)
(清潔で使い勝手のよいキッチン)
また、小田原の街自体を楽しんでほしいです。
海も山もあるし、商店街には美味しい店もある。不自由のない日常の生活ができて、かつ自然も身近にあります。
最近できたオススメのスポットとしては
小田原駅隣接の商業施設ミナカの屋上。眺望がよく、小田原城や富士山が見え、足湯もありますよ。
(ミナカ屋上からの眺め。小田原城と海が見えます)
小田原からバスで15分くらいの「いこいの森」もおすすめです。自然の中ですが、電源もwifiもあり、リモートワークの場所としても使えます。
でも、なんといっても「ケントスコーヒー」。美味しいコーヒーを飲んで、その隣にあるジェラート屋さんでジェラートを買って海を見ながら食べる。
これ最高ですね。
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ゲストハウス運営に留まらず、次々と新しいアイデアを形にしていくコアゼさん。
現在進捗中のプロジェクトとしては、大学生向けの「ローカルキャンパス」を実施しており、小田原の街に半年間通いながら地元の方と繋がり、学び、挑戦できる企画を始動させているそうです。
立ち上げたきっかけも、一人の大学生が移住支援に申し込んできた理由から。
「コロナ禍で大学もオンラインになり、幅広い交流や経験が積めないまま社会人になることに危機感を抱いている」
その一言から、小田原の地元の人脈を活かして社会人と知り合い、学べる機会を作りました。
小田原を愛し、地元の活性化にも一役買う家守が迎える小田原A・B邸。
2021年9月には小田原C邸もオープンし、さらにホッピングの楽しさが広がりました。
家守がこよなく愛する街、小田原を訪れてみませんか?
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