荷物を下ろした瞬間くつろげる。築90年の古民家を手作りで改修した家。【家守インタビュー】松山A邸 浅田さん

「何か人様の役に立つ事業をやりたい」と、地元愛媛で「おいとこ三津浜邸」を営む浅田さん。

そのミッション通り、滞在者のスケジュールやライフスタイルに合わせておすすめスポットを提案したり、自分があったらいいなと思うものを部屋に揃えるなど、細かな気配りが会員にも好評です。

そんな、おもてなし精神あふれる浅田さんに、こだわりが詰まった築90年の古民家の魅力や、「紹介したい場所がありすぎる」という三津浜の魅力についてお話いただきました。

住んでいるからわかるローカル情報を、ゲスト目線でお届け

私はかつて多拠点生活をしていたこともあり、「地元で滞在場所を作りたい」と思い、昨年三津浜の地で古民家(今の松山A邸)を見つけました。

コロナを経て、人々の価値観も変化し、移住や多拠点生活が注目されていた中、ADDressと提携できることを知り、すぐに応募しました。今は、17歳の息子と一緒にこの家に住みながら、住み込み家守として愛媛県松山A邸をきりもりしています。

会員さんを迎えて施設案内をする時には、どういった日常を過ごされる予定なのか、観光なのか、お仕事なのかなどを、自然にヒアリングするようにしています。そして、その会員の方にあったおすすめスポットや情報提供を心がけています。

会員の方はここへ来る前によくお調べになってますね。ですが、ローカルな場所ではネットに載っていない情報も多く、「今日はここでイベントがあるよ」「本当はここが近道だよ」など、ちょっとしたことですが、現地にいるからこそわかることを伝えるようにしています。

車で来た人と電車で来た人では移動ルートが違うので、一人一人のご都合に合わせて情報提供するようにも気をつけています。

また、松山A邸独自の取り組みとして、事前にLINE交換をしていただき、情報やリンク先などの伝達に活用しています。

とはいえ、会員さんが圧に感じないよう、「行っても行かなくてもいい」「あくまで会員さんのご都合で」という距離感も大切にしています。

「お願い」は最小限で「楽」に過ごせる空間作り

松山A邸では、ADDress指定のPOP以外は極力設置しないようにしています。

「お願い事項」は口頭で説明しますし、もしお忘れでも、私が対処すれば問題ないと考えているので、会員のみなさんには「なるべく頭を使わなくていい仕組み」を意識しています。

これは在宅家守だからできることだとも思いますし、私もゆるやかな雰囲気で、会員さんが「楽」に過ごせることが一番だと思っています。

他にも、私が東京-松山など、ゲストハウスやホテルで多拠点生活をした際、「あったらよかったな」と思ったものを設置しています。

各部屋に、冷蔵庫やテレビ、ティッシュ、電気ケトル、ウォーターピッチャー、コップ、鏡、ハンガー、物干し、タオルなど、生活する時に必要になるものは思いつく限り揃えています。

リネン類もチェックイン前にセットしてありますので、荷物を置いたらおいたらすぐに休める生活が始められる空間になっているのではないかと思います。

築90年以上の古民家ですが、隣接する建物もなく、高い天井や中庭のおかげで解放感があります。「3日間ずっと篭って仕事してました!」という会員さんもいるほど、静かでゆっくり過ごせる家だと思います。

直接感想をお聞きすることはありませんが、「松山A邸がよかったと聞いて来ました」という会員さんが来られることがあり、そう思ってもらえたってことがとてもうれしかったです。

「三津の渡し」に「三津浜焼き」。過ごすほどに感じる三津浜の魅力

松山A邸がある三津浜地区には、高い建物もなく、高低差もないので、散策に最適です。

地域の居酒屋も多く、古民家カフェや古い建物を活かした施設も点在しているので、ローカルだけど寂れてはいない、ちょうどいい落ち着きのある街並みです。

会員さんそれぞれの滞在目的に合わせておすすめスポットをご紹介していますが、その中でもよくおすすめするのが、「三津の渡し」と「三津浜焼き」です。

「三津の渡し」は、家から徒歩2〜3分にある、対岸までの約80メートルほどの距離を結ぶ船です。

500年の歴史があると言われ、市道の一部なので無料で乗船できるのもうれしいポイントです。朝7時から19時まで年中無休で運行しているので、お仕事前の朝の散歩にもおすすめです。

「三津浜焼き」は三津浜のソウルフードで、広島風お好み焼きに似て非なる名物です。三津浜エリアには複数のお店があって、各店わずかに味の違いがあります。色々お試しいただけるようお店の休日情報などもお伝えするようにしています。

(↑無料で配布されている「三津お散歩マップ」)

他にも伝え切れないほど、徒歩15分圏内におすすめスポットや小さなイベントがたくさんあるので、「毎日おすすめスポットに行ってきました!」「もっと長期滞在すればよかった」という声も多いです。

ぜひ1週間以上の滞在で三津浜を堪能してほしいですね。

目立たなくても、「困らない」家

かつては東京でデザイン関係のお仕事の経験もある浅田さん。

松山A邸を営む上で、その工夫の根幹には「デザインにも近いものがある」といいます。

「より良いデザインは気が付かれない、目立たないと言われています。目立ってどこが良いわけではなく、困らない、迷わないというのがこの家で大切にしていることです。」

浅田さんのお話の中では、「楽でいてほしい」「健やかでいてほしい」というお話が印象的で、ゲストのことを第一に考えるお人柄が伺えました。

ゆったりとしたペースで時間が流れるという三津浜の街。忙しい毎日でも、少し肩の力を抜いて、スローな生活で、「楽」になれる時間を持ってみるのも良いかもしれません。

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この記事を書いた人

三上ゆき

一般社団法人READYBOXで副代表をしながら、ライターやフリースクールの先生もしています。 「いいことを、淡々と」がモットー。