家守をやることで夢が現実になった 小田原A邸家守 平井さん:vol.13【ADDress家守インタビュー】

(小田原A・B邸家守。左がA邸の平井さん。右がB邸のコアゼさん)

ADDressの特徴は均質化されていない滞在体験。
観光だけではなく、家守やその土地にいる方々、同じようにさすらう会員同士の偶然の出会いから始まる交流の楽しさ。
家々の個性や偶然性を楽しむことこそが、このADDressのサービスを満喫するコツです。

家の個性を形にする、家守の存在。
今回は2回に分けて小田原A・B邸の家守をご紹介します。

今回は小田原A邸の平井さん。
小田原生まれの小田原育ちで、40年近くカフェを営んでいます。
ADDressの会員もよく立ち寄るケントスコーヒー。ジャズが流れる店内で、店主兼小田原A邸家守の平井さんがコーヒーを淹れてくれました。

小田原の「まち歩き」を通して街おこしに関わる

ーーーもともと小田原の街おこしに関わっていたと伺いました。

20年前くらいから小田原の街おこしに関わっていました。
小田原は城下町と宿場町が近接する、二つの顔を持つ街。
江戸時代から、箱根の山越えの前に小田原で宿泊するために宿場町として栄えていました。
海では毎日浜辺から船が出て漁が行われ、店のすぐ向かいはかつては活気のある魚市場。
ADDress小田原A邸が道沿いにある「かまぼこ通り」は、かつて宿場町の中心でした。

しかし、漁港は大きな漁船も入れるように早川に移設され、昭和40年代に西湘バイパスも通り、「生活の海」が遠のいてしまいました。
かつての賑わいを感じられるように、との思いで20年くらい前から「小田原セッションズ」としてこの地域の活性化の取り組みに加わりました。
具体的には小田原の歴史を紹介しながら「まち歩き」をしたり、地域のイベントを企画したりしています。

もともと小田原で喫茶店は営業していましたが、何度か移転し、かまぼこ通りから一歩入った海の近くに「ケントスコーヒー」をオープンしたのは2018年です。
こじんまりとして、一人でやるのにちょうどよい大きさでした。

ここでやるなら小田原の海やかまぼこ通りの魅力も発信していきたいと考え、交流の場づくりやサポートもしてきました。
今は若者が立ち上げたこの地域の活性化の取り組みにも関わって、支援しています。
その関係で空き家・空き店舗問題への対応を行政と連携する中で、もとは酒屋だった建物がADDressの家として2020年5月に小田原にオープンしました。

ADDress小田原A邸。かまぼこ通りに面しています

(ADDress小田原A邸。かまぼこ通りに面しています)

小田原A邸から徒歩1分で海。トンネルの先に青い海が広がります

(小田原A邸から徒歩1分で海。トンネルの先に青い海が広がります)

ーーー家守になったきっかけを教えてください

ケントスコーヒーにADDress代表の佐別当さんが訪ねてきて、「住民」でも「観光客」でもない、「関係人口」の話をしていました。
考え方が面白い、と思いましてね。
それまでは定住か観光かの考え方しかありませんでした。
ADDressの会員は滞在して地元の人と交流したり、再訪してまさに関係性を築いています
住むわけでも、物見遊山でもなく、地域に度々訪れる緩い関係性。
会員と地元とをつなげるような「家守」を探していると聞いて。
「それは俺がやるしかない!」と。
家守は運命的な出会いでした。

もともと私は観光客に小田原の街案内をしており、地域の活性化の取り組みにも長い間加わっています。
小田原の魅力を紹介し、交流も促していきたい。
もう、この役目は私しかいないでしょう。

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小田原A邸室内の様子。
1階にガレージのようなコワーキングスペースがあり、2階に共用部のキッチンとダイニングが、3階に個室やドミトリーがあります。

1階のコワーキングスペース。6-7人が作業できる長いテーブルもあります

(1階のコワーキングスペース。6-7人が作業できる長いテーブルもあります)

2階のダイニング。冷蔵庫は2つあります

(2階のダイニング。冷蔵庫は2つあります)

3階個室。机と椅子があり、窓から明るい光が差し込みます

(3階個室。机と椅子があり、窓から明るい光が差し込みます)

そして屋根裏部屋はコワーキングスペースとしても使え、お昼寝ができるロングクッションやハンモックもあります。

秘密基地のような屋根裏部屋。電源、wifiもあります

(秘密基地のような屋根裏部屋。電源、wifiもあります)

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家守をやって人生が変わった

ーーー家守を実際にやってみての変化はありましたか?

大袈裟ではなく、人生が変わりました。
23歳からコーヒー屋の店主をやっていて、
店主と顧客という関係では濃くなるのですが、お店だから小田原の地元の人の範囲に留まります。

ところがADDressだと、そこでは出会えないような人たちと出会える。
年齢や若い人や、IT系のお仕事の人とか。コーヒー屋だけでは知り合えない人たちです。
私自身が他のADDressの家に遊びに行くこともあるのですが、そこでこの夏、私の夢が一つ実現したんですよ。

1年前の秋に清里A邸に訪問したときに、かつて学生時代によく清里に行っていた話をしました。
「いつか清里でコーヒー屋をやってみたいと思っているんです。でもこの年だし、お客さんがこちらにいるわけでもないしね」
清里A邸家守の名村さんに何気なく言ったら、名村さんの知り合いのペンションのオーナーに話をつないでくれて。
「じゃ、うちでやればいい」と。
そのときは冬に向かい寒くなるので「またいつか」と帰ってきたのですが、今年の春、名村さんから再び連絡をもらいまいした。
「コーヒー屋さん、いつやりますか?待ってますよ」
覚えてくれていたんですね。嬉しくてね。

「わかった。行きますよ!」
と7月には行って打ち合わせをして、8月には清里のペンションで期間限定のコーヒー屋が実現しました。
清里の観光協会のホームページにも載せてくださったんですよ。
お店を開いた期間は、ADDressの家守や会員、小田原のお客さん、清里の人たち。
連日いろいろな人が訪ねてきてくれました。

ADDressの家守 平井さん

ーーー家守として会員とどのように接していますか?

親近感を持ちながらも距離感には気をつけています。
来訪の目的は色々だと思うので。
交流したい人ばかりではなく、リモートで集中してお仕事をしたい人もいます。
ご挨拶するときの印象で、どこまでどうするかは考えます。
交流したい人はケントスコーヒーを訪ねてきてくれますね。
その意味ではわかりやすいと思います。
必要以上にはアプローチしないようにしています。

ADDressを始めて、ドミトリーの人(専用ベッド(※)の長期滞在会員)にはすごく助けられました。
オープンで男女3人ずつ入ってきてくれたのですが、みんないい人たちで。
地元の人と知り合って程良く溶け込んで、ビーチクリーン活動にも一緒に参加してくれました。彼女を紹介してくれることもあってね。
親戚のおじさんみたいな関係性ですよ。

(※)専用ベッド・・・ADDressの特定の家に自身の専用ベッドを持って契約している人。詳細はこちら

家守をやっていて、ADDressの会員というだけで安心感と親近感を感じます。
会員になろうという意思決定をする時点で一つフィルタはあると思います。
どこの誰だかわからない人ではなく、会員というフィルタを通した人。
そこに安心感があるんですよね。

まるで親子のような平井さんとコアゼさん

(まるで親子のような平井さんとコアゼさん)

ーーー小田原Bのコアゼさんは、平井さんとのつながりがあってADDressの家守を始めたと伺いました。

コアゼ:はい、平井さんと一緒にいるドミトリーの方やADDress会員を見て、ADDressは安心してできそうだな、と思いました。

平井:もともとは3年前くらいかな、小田原にも海外の旅行客が来て観光を楽しんでいた時期。小田原の観光協会から、外国の滞在者がどんな目的で小田原にいるのかインタビューしたい、という依頼をもらって。
それでゲストハウスを運営していたコアゼさんを紹介したのが最初の出会いでした。

コアゼ:ADDress自体はクラウドファンディングをしていた2019年から知っていたのですが、実際に小田原にできて平井さんが家守になったのでADDress会員がどんな人たちか知るようになり、おもしろそうだなと思っていました。

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いつも穏やかな笑顔で迎えてくれる平井さん
地域を元気にする企画として、ADDress小田原A邸をメイン会場に「小さな軒先市」を開催したこともあります。
「もう60を超えているしね、昔は街の活性化を考えるときに60歳以上の意見は聞かない、なんて言っていたけど、その年齢に自分がなったから。若い人の邪魔にならないように、後方支援したい。彼(コアゼ)くんのような人に頑張ってほしいですね」

そう話す平井さん。有志のADDress家守・会員で「オンライン誕生会」が開かれるほどの人気者。幅広い世代と友人のように付き合える平井さんは、まさに地域と「旅するように暮らす」ADDress会員をつなぐ架け橋のような存在です。

コアゼさんが家守を務める小田原B邸は次号にてご紹介します。

文/写真(一部):ADDressライター 高石 典子

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この記事を書いた人

高石典子

2020年8月よりADDress会員。月の半分はADDressの家を巡り、半分は自宅で過ごす。中学・大学生の2人の子の母。フルリモートで仕事をしており、母親業もリモート化できるのではと実験中。仕事はキャリアカウンセラー&ライター。喫茶店での読書と銭湯後の一杯が至福のひととき。得意技は「ポジティブ変換」。