人にも仕事にも本気で向き合う。大阪天満のアネゴ家守はスケールも博物館級【ADDress家守インタビュー】大阪天満A邸 あっちゃん

ADDressの特徴は均質化されていない滞在体験。

観光だけではなく、家守やその土地にいる方々、同じようにさすらう会員同士の偶然の出会いから始まる交流の楽しさ。

家々の個性や偶然性を楽しむことこそが、このADDressのサービスを満喫するコツです。

家の個性を形にする、家守の存在。

今回は大阪天満A邸のアネゴ家守、あっちゃんをご紹介します。
※大阪天満A邸は2022年10月末でADDressと連携解消して、あっちゃんは家守を退任しています。

新幹線からのアクセスも便利な天満A邸は、大阪駅(梅田駅)から一駅の天満駅から徒歩5分の場所にあり、大阪ホッピングの起点として利用されることも多い家。

取材当日、「お弁当作っていくから、夜桜を見に行こう!」とあっちゃんからメッセージが届きました。連れていってもらった場所は川と橋が見え、桜がライトに照らされた穴場スポットです。

幻想的な夜桜の下で、波乱万丈なあっちゃん劇場が幕を開けました。

やるなら一番を目指す

ADDressを知ったのは不動産会社の紹介だったわ。

コロナ前は民泊を40件ほどやっていたけど、大阪は中国や韓国から訪れる人が多かったから、反日運動の盛り上がりでインバウンドのお客さんが減って困っていてね。

国内に目を向けなければと思っていたので、ADDressの話はちょうどよいタイミングだった。

違う風を持ってくるって、私のようにビジネスの第一線にいる人には必要なことやし。民泊市場に違う風を送れる、と思ったね。

家守と会員は対等な関係なのでホスピタリティはそれほど求められない、と言われたけど、「いや、ホスピタリティは絶対いる」とハッキリと言ったってん。

いろんなところにADDressの家があり、会員さんも巡っているわけだし、家守の心持ちやふるまいが、その家の印象や評判を決めるでしょ。

「やるなら一番を目指します!」言うて引き受けたわ。実際、コロナ前は稼働率95%あってん。

貯金をつぎ込み、ネット販売のノウハウを学んだ

生きてきてずっと1番やねん。

両親は共働きで、私は4人いる子どもの末っ子。

主役や目立つ役をやるからこそ親が見に来てくれると思って、学芸会などでお芝居があるときは、自分から主役に手を上げてな。

親を喜ばせたくて何でも手を上げて、何でも1番目指していたな。

1番であり続けるには、その過程で誰よりも努力する

役割があるし、責任があるから頑張れるし、やり続けられると思うんやわ。

それを引き受けるうちに、自然と自信がついてきて、顔つきにも表れてきたと思う。

18歳のときにWindows95が出て。そのとき「うわ、こんな時代になったんや、ここからいろんな情報得られるんや」と思ったな。

美容師専門学校行っとって、大阪でトップの美容室に就職も決まっていたんやけど、20歳で子どもできて、働けへん現実に直面して。

どうしよ、と思っていたときに、もともとパソコン気になっているのもあったしな。

チャットで男の人とメッセージのやりとりをする在宅ワークを始めてん。

PCなんて触ったこともなかったけど、タイピングの練習になったわ。

打つのが遅いので応援したくなったんやろな、「若い姉ちゃんが一生懸命パソコンやっている」とファンができてん。月で5-6万にはなったな。

親戚のおばちゃんに教えてもらってネットオークションも始めてみたけど、効率化したくなってな。

独学でホームページを学んで、サーバ―を借りてドメインをとって。今みたらめっちゃ可愛らしいようなページやけど。

そしたらオークション通さず買ってくれるお客さんがどんどん増えてって。揺りかご揺らしながら、PCに向かってやってたわ。

貯金がやっと70万になったところで、商社におったお姉ちゃんから「販売価格の2割の50万でバカラのグラスを仕入れへん?」て話がきてね。

さすがにどうしようと思って商売人のおかんに相談したら、「倍にしたったらええねん」て。

今思えばどうやってやるん?と突っ込みたいところだけど、そのときの私は「せやな」と答えてたわ。

バカラを調べてシリーズに分けてホームページを作り、お客さんと丁寧にメッセージのやりとりしながら販売して。

この経験でネット販売のノウハウが、ばちーんと身についたわ。

結局1ヶ月で仕入れの倍近くの価格で売ることができてん。

もともと不動産にも興味があったから、28歳で自分の家とお店を天王寺区っていう一等地で買ったんや。

2年間で1300万貯めて、1つはキャッシュで買ってん。

外食を一切せず、遊びに行くのは大阪城公園だけ。冷蔵庫以外の電源を切って光熱費を抑え、徹底的に節約したら貯金できたわ。

7年前くらいにインバウンドの流れがきたから民泊40件くらい作ってね。

始めたのが早かったから、ホームページ作ってブログ作って交流会セミナー自分で立ち上げてやって。広告なしで全国検索1位になってん。

輸入雑貨に始まり、不動産、リサイクル、そして飲食も。今は5つの事業を抱えてるわ。

(天満A邸のリビング。手前のカウンターもあり、銘々の距離感で過ごせる)

ちょうどよい距離感がとれるリビング

天満って場所的に都会やから、男の人の利用も多いんよ。

だから私、リビングに漫画置いてん。

経験上、男性ってあまり積極的に交流せえへん。男の人同士って挨拶くらいだったりするでしょ。女性のほうが自然にできるんやけど。

私がおれへんときにも、例えばお風呂あがったりしたときに、すぐ部屋に行かんでも、漫画読んで少しリビングにいてたりして。

そのときキッチンに人がきたら交流も生まれるでしょ。

リビングが広すぎず狭すぎずちょうどいいといって、みんなめっちゃ気に入ってくれる。

テレビを囲むように大きなソファがL字に置いてあったり、

キッチンに面してカウンター席もあるので一人で来た人も止まり木のように使えたり。

会員にこのリビングがめっちゃいい、と言ってもらえる。

ちょうどよい距離感がとれるから。

レビューにも交流が楽しかったと書いてもらえて、私との交流を目的に来てくれる会員もおるし。

それが家のカラーを作り上げて、声掛けやすい雰囲気になっているんやね。

みんなの書いてくれた結果が、居心地の良さを作ってる。

ディープな天満散策ツアーへ誘う

自分で探す情報には限界があるでしょ。だから、現地にいるからこそ知る情報を提供してるねん。

火曜、木曜夕方18時頃~30分くらいの天満散策ツアーでおすすめを紹介している。

例えばコンビニならどこ、スーパーならこっちがいいよ、とか。

私、ネオンめっちゃ好きやねん。スーパー玉出のネオンめっちゃカラフルでな。

お魚コーナーぜひ見てほしい。ネオンがめっちゃ可愛いんよ。

(スーパー玉出のお魚コーナー。ネオンが鮮やか)

どういう風に楽しみたいかを聞きながら提案して、お寿司でも3000円くらいでゆっくり飲めるお店があったり。

女性一人で入れるホルモン屋さんとか。

コスパ1000円~2000円で食事や飲みを楽しめる街やから。

夜になるとイタリアンのシェフが腕をふるう「裏ひろや」というお店もあるよ。

知ってる人はシャッタ―上がる前から並んでいたりする。

楽天湯、といういい銭湯もある。サウナあって水風呂冷たくて、お風呂は綺麗で。

そこを超えたところに提灯どおりがあるやんか。

天満市場という市場があって、その上にタワマンがある。市場の上にタワマン。めっちゃシュールやねん。

ここが写真ポイントやと、紹介するんや。

(提灯通り。数々の提灯がアーケードを彩る)

あっちゃんが作りたい部活があるねん

会員と一緒に作りたいからしっかり温めてんけど、会員限定で、「いつでも電話していい」ていうのを考えてんねん。

日本ではネガティブなことに心閉ざすやん。お金とか恋愛とか。

関係性なかったら話聞けへんやん。「とりあえずがんばってね」って言うだけとか。

でも、私は聞いてあげたいねん。誰であっても。

私が電話でれんのやったら、ライフラインみたいな感じで、誰かが聞けるような。

多拠点生活してたら、知り合いあんまりおらんし、基本一人やん。

何が恐いって、孤独が恐いねん。みんな悩みあるけどさ、誰かに話したらめっちゃ楽になるねん

しょうもないことでも、聞いてくれただけで明日が見える。

でも、今はどんどん話せなくなってきた。特にリモートになってきてから。

ちょっと寂しい、誰かに話したいってことはあると思うねん。

電話していいよ、ってなったら、電話できたらいいなって。

もともとそんな社団法人作ろうかと考えていたんよ。

私は障害者の方に仕事教えに行ったりもしているけど、施設では看護師が気持ちのケアをしたり、うまく分業されてる。

仕事はちゃんとするけど、気持ち的なところは看護師がケアする。ちゃんと他人事で動いてねん。

大きな組織にはそういう受け皿あるけど、小さな組織にはまだ足りないと思うんだわ。

それ作りたいねん。

ママは私たちを守ってくれる

孫の代まで財産残すというのがテーマやから、マンション建てようと思ってる。

日本の経済信じていないから笑 

子どもがうまくいかんときとかあるやんか、そういうの救ってあげたいと思うんよ。

家族ってめちゃくちゃ大事やからさ。特に子ども。

今年、娘が東京行って、寂しい思いもするけど。

はっきりと娘に伝えたことは一つあって。

「20歳になったら大人だから、お互い対等。親として意見は言うけど、決めて選択するのは自分」

それまでは直してあげたい思いで向き合って、ときには喧嘩もしていたけど、もう大人だから相手の意見を尊重して、言いたいことがあってもぐっと飲み込んでる

私も成長したわ笑

東京に出るタクシーを見送るとき、最後に娘を抱きしめてな、「ごめんな、怒りすぎたな、体きいつけてや」と。

そのとき、娘が赤ちゃんの頃の感触が蘇ったんだわ。

「あぁ、この子は抱きしめると体が熱くなる子やったなぁ」と。

赤ちゃんのころから本質は何も変わらんね。

抱きしめると体が熱くなる子、よく寝て気持ちが安定している子、愛情を求めたがる子。

親に対しての愛情の求め方、反応の仕方は変わらない。

愛情バカなくらい愛情を注いで、まっすぐに育ってくれたわ。

子どもたちから言われたのは、「ママの好きなところは、私たちを守ってくれるところ」。

もう、それだけで親としては充分だわ。

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カッコイイ。姉御肌。器が広くて、なみなみと愛情が注がれている。

それがあっちゃんに感じた印象でした。

ホスピタリティ溢れる笑顔の裏側に、本気だからこそごまかしがきかない厳しさが垣間見えます。

人に対しても仕事に対しても本気でいく。中途半端は意味ない。」

「自分の時間が大事だから。自分が一番楽しいと思う時間をみんなに共有するし、わたしも楽しくなかったらみんな楽しくない、と思ってる。」

「本気でいくから成功すると思う。」

家守だけではなく、事業家としても、子育てをする母としても一本筋が通ったあっちゃん。あっちゃんの本気が、あなたを目覚めさせるかもしれません。

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この記事を書いた人

高石典子

2020年8月よりADDress会員。月の半分はADDressの家を巡り、半分は自宅で過ごす。中学・大学生の2人の子の母。フルリモートで仕事をしており、母親業もリモート化できるのではと実験中。仕事はキャリアカウンセラー&ライター。喫茶店での読書と銭湯後の一杯が至福のひととき。得意技は「ポジティブ変換」。