会員が過ごしやすいように、小さく改善を続ける【ADDress家守インタビュー】多摩平A邸 萩原さん

ADDressの特徴は均質化されていない滞在体験。

観光だけではなく、家守やその土地にいる方々、同じようにさすらう会員同士の偶然の出会いから始まる交流の楽しさ。

家々の個性や偶然性を楽しむことこそが、このADDressのサービスを満喫するコツです。

家の個性を形にする、家守の存在。

今回ご紹介するのはJR中央線豊田駅徒歩7分に位置する多摩平A邸の家守、萩原さんです。

26歳、社会人4年目という若さで家守に。

お仕事がテレワークになったことが生活を見直すきっかけになったそうです。

多摩平A邸はADDressでも異色の、団地をリノベーションしたお部屋の滞在となります。

家守としてはどのような工夫をされているのでしょうか。多摩平A邸のリビングでお聞きしました。

※萩原さんは家守を退任しており、多摩平A邸は家守を交代して運営しています。

住む場所や触れ合う人が変わり、価値観が変わる予感がした

ADDressは2019年のサービス開始当初から知っていて。多拠点生活は気になるものの、当時の自分にはまだ縁がないと思っていました。

ですがコロナで出社がほぼなくなり、テレワークになって1年経った2021年春ごろ、わざわざ家賃の高い都心に住む必要性はあまりないと思ってきました。

幸い仕事はどこにいてもできる状況でしたし、人との交流が減ったことに寂しさを感じていたため、これを機に新しいライフスタイルに挑戦してみようという気持ちが強くなりました。

私は旅の経験が豊富な方ではありませんでしたが、移動している会員が訪れて色々な人に会える家守も楽しいのではと思い、ADDressへの会員登録とともに家守希望者としても登録しました。

2021年6月頃に登録してからまもなく多摩平A邸の家守募集を見つけました。仕事でもときどき都心に出向く必要があったため、アクセスもよく、生活費も手頃だと感じたため、すぐに応募しましたね。

そこから決まるまでは早かったです。

もともと7月オープンは決まっていたので、6月中旬には面談があってその週のうちに内定。家守を始める前に一度は会員として使っておかねばと、オープンまでの間に雑司が谷と日本橋のADDressを利用しました。

(会員として滞在した雑司が谷の家)

雑司が谷の家は、おばあちゃんの家のような日本家屋でした。

家守の斎藤さんは当時「住み込み家守」で、共同スペースのリビングにいらっしゃることが多かったです。

私は会員としての利用もほとんどないまま家守になるので、斎藤さんにもいろいろ教えてもらいました。

そのときのアドバイスとしては、「気を張らずにやるといい」ということ。

全然知らない人と生活が近くなるからこそ、距離感の取り方やスタンスを教えてもらいました。

会員としての体験で印象的だったのは、

雑司が谷に滞在したときに偶然、以前就職活動時のインターンで一緒だった人と再会したことです。既に会員として利用していて。まさかこんなところで、と驚きでしたね。

その体験を通して、ADDressを利用することで

住む場所や触れ合う人が変わり、価値観が変わるだろうなという予感がしました。

(多摩平A邸のある団地、「りえんと多摩平」。ウッドデッキのテラスがあります)

7月、家守としての生活がスタートしました。

私自身、共同生活は実家にいた学生の時以来ぶりです。

最初は会員に聞きながら、生活しやすいように細かい改善をしていきました。

例えば、靴が多くなるので玄関に追加でシューズラックを設置したり、シンクのそばに部屋ごとのちょっとしたものを入れられる小物入れを置いたり。

他にも、スイッチにどこの照明かわかるように記載する、1階にある洗濯機の設置場所を3階の個室の扉に掲示するなどです。

初めて来訪した人が「聞かなくてもわかる状態」になるように、一つ一つ解消していきました。

最初は会員が来る時間にお迎えに上がるなど頑張っていましたが、

「気を張らずにやるといい」という斎藤さんのアドバイスを思い出して、

無理なく出来る範囲での関わり方に落ち着きつつあります。

家守開始から3~4か月経ち、自分の中でも会員が満足する基準が見えてきました。

共同生活を通して自分の価値基準とのズレに気づく

(1階の共同スペース。ADDress以外の滞在者とともに譲り合って利用する)

家守を始めて意外だったことは2つあります。

1つは、多摩平A邸において会員どうしの積極的な交流を生み出すスタイルの運用は思ったより合わないこと。

もう1つは、綺麗にしたいポイントや基準が自分や会員ごとにそれぞれ異なる、という点です。

多摩平A邸は団地をリノベーションした家で、ADDressはその中で2室を利用しています。

1室の中にはスマートロックがかかる個室が3つあり、プライベート性が高い物件です。洗濯機・シャワールーム・キッチンは1階の共同スペースを使います。

自炊をせずキッチンやダイニングをあまり使わない会員の場合、部屋でお仕事やお食事をされているとほぼ顔を合わせることがありません。

交流が少ない反面、お仕事に集中したい方にはおすすめの環境です。

(女性専用203号室。デスクとチェアがあり、陽当たりもよい)

家守の私としても、「対面で説明しなくてもスムーズに使える」ように各施設の使い方などを掲示するよう心がけています。

自分自身が綺麗にしたいポイントや基準については、共同生活をして改めて気づいたことでした。

例えば、私は水回りを綺麗にしておきたいタイプで、シンクに水滴が飛んでそのままになっていることが最初は気になっていてスポンジや布巾を設置していたのですが、あまり使われないということがわかりました。

共同生活をしてわかったことなのですが、人それぞれ気になるポイントが異なるのです。

水回りが気になる方、乾いた埃が気になる方、匂いや温度が気になる方。

会員にいろいろ聞く中で、自分自身の基準ではなく、概ねみなさんが快適に過ごせる基準がどのようなものかを探りしながら見出していきました。

共同生活をすることで「快適な環境」の自分自身の価値基準とのずれに気づくこと、これは勉強になりました。

まさに「多様な価値観」に触れる体験です。

団地が生まれ変わった多世代交流型の住居で、生活の便利さは享受しつつ少しの非日常体験を

ここ「りえんと多摩平」は、多世代交流型賃貸集合住宅としてグッドデザイン賞を受賞した「たまむすびテラス」の一部として位置しています。

「たまむすびテラス」は昭和33年に建てられた団地をリノベーションしており、棟によって学生・ファミリー・高齢者向けが居住しています。

ADDressが入る棟には「トキワ荘プロジェクト」で入居する、プロの漫画家を目指すクリエイターの方々がいます。

そのため、入り口のwelcomeボードには手書きの絵が描かれていたり、共同スペースの本棚にはさまざまな漫画が置かれたりしています。

実は私自身、子役で舞台に出ていたことがあってクリエイターや表現者へのリスペクトの気持ちがあり、彼らの生活を応援したい気持ちでもいます。

お越しになる会員にも、ぜひ共同生活者としてそっと見守っていただきたいですね。

ADDressの利用を始めたばかりの会員が来ることが多いのも、この多摩平A邸の特徴です。

都心から30分という距離、プライベートが保たれる個室、デスク&チェアが揃って仕事もしやすい環境。

そして徒歩5分程度で24時間営業の西友があり、外食やフードコートも入るイオンモールもあるので食料品の調達や飲食には困りません。

「ADDressが初めてなので、生活に便利な場所でちょっとだけ非日常を味わいたい」という方にはうってつけの家だと思います。

また、歴史好きな方にとっては、ここ日野市は「新選組」ゆかりの地としても有名です。

少し足を延ばせば「新選組のふるさと歴史館」や「土方歳三資料館」など、歴史の息吹を感じられるスポットも。

「土方歳三資料館」には歳三の愛刀である和泉守兼定(市指定有形文化財)や直筆書簡なども展示されています。

周辺は緑も多く、浅川の川沿いや東京の名湧水57選に入る黒川清流公園などでは森林浴や散策も楽しめます。

時間があれば、ぜひのんびりと散策してみていただきたいですね。

これからは、会員同士の交流をしたい方向けの工夫もしていきたいと思っています。

例えば、部屋の玄関に掛けてあるホワイトボード。

お名前といつまで滞在かを書いてもらうことで、お互いに挨拶したり、会ったときに話しかけたりしやすくなることを意図しています。

また、自炊したい方のためには1階の共用部の引き出しに、調味料も用意しています。

引き出しの扉にADDressのシールも貼っているので見てみてくださいね。

ちょっとずつですが、会員が過ごしやすいように日々工夫して改善していきます。

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常に「会員とADDress以外の滞在者の双方にとって過ごしやすくなるにはどのように工夫したらよいか」と考え改善を行っている萩原さん。

会員の声に耳を傾け、小さいことから取り入れたり試したりして、改善しています。

インタビュー中も多摩平A邸の利用案内のサイトの文章を読みながら、「この部分はいらないかも」「もっと見やすい位置におきたいな」など工夫点をいくつも見出していました。

ADDressでいろいろな会員と会い、社会人のロールモデルが広がりました」という萩原さん。一つの会社で仕事をしているだけでは出会えない、面白い人たちとの出会いに刺激を受けているそうです。

ご自身が舞台に出ていたこともあり、将来的には「クリエイターのセカンドキャリアを支援したい」というお気持ちを持たれているとのこと。

ADDressでの出会いは、キャリアの在り方のバリエーションを広げてくれるかもしれません。

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この記事を書いた人

高石典子

2020年8月よりADDress会員。月の半分はADDressの家を巡り、半分は自宅で過ごす。中学・大学生の2人の子の母。フルリモートで仕事をしており、母親業もリモート化できるのではと実験中。仕事はキャリアカウンセラー&ライター。喫茶店での読書と銭湯後の一杯が至福のひととき。得意技は「ポジティブ変換」。