ADDressが社会的課題にどのように関わり、その改善、解決にどれほど寄与したかという「社会的価値」を可視化した多拠点生活に関する初の試みである『社会的インパクト調査』を実施しました。
ADDressが目指すべき社会課題におけるKPI(重要業績評価指標)を設定するために、本プロジェクトではまず「ロジックモデル(=下図)」を作成しました。これは最終目標に向けて取り組むべき戦略をまとめた「事業設計図」で、時系列別に初期、中期、長期(最終)に整理。社会課題の解決のために意図的に行った活動で生じたサービス、技術、商品(アウトプット)が社会に与えた有形無形のポジティブな変化(アウトカム)を捉えて評価、その要因を分析しました。
長期アウトカムとして、受益者がADDress会員の場合は「幸福感を持って生きる人々の増加」、地域を受益者とする場合は「観光によらない地域のあり方の実現」と設計。ロジックモデルに沿って可視化をするために、業務データおよび会員・家守アンケートを参考データとして取得しました。
初期アウトカム「多拠点生活の増加」では、会員数の増加率、物件数、年間平均物件利用数、同一会員がリピート予約している物件数を可視化。会員数はパンデミック前と現時点で比較して6.42倍に増えました。
初期アウトカム「新しい出会い・交流の創出」では、家族や旧来の友人・知人や仕事関係者を除いて新たに獲得した交流人数が10名以上と回答した会員が61.3%にも上り、「ADDressのサービスが新たな出会いを促進した」と判断するに足る結果となっています。会員・家守が立ち上げた部活動は、調査時2021年8月18日時点で22部活715名が登録しています。
その他、レポートでは初期アウトカムとして「遊休資産の利活用」についても数値化をしています。
中期アウトカムでは「新たな場所での自己実現」として、多拠点生活先で新たなことにチャレンジした人、そうした地域活動を通して収益を上げた人数についても分析とともに数値化を試みました。また、豊かな暮らしの実現に向けた指標として、経済とは直接結びつかない地域の自然資本や文化資本に触れた体験の数や質も可視化。アンケート回答した会員の85%が、自然・文化資本のいずれかもしくは双方を体験したという結果が出ました。
さらに、中期アウトカム「交流/関係人口の増加」では、多拠点生活での月平均食費消費額、1コンテンツあたりの平均アクティビティ消費額を数値化。地域で生産活動をすることで収益を上げた人の割合は20.4%、移住意欲のある人は37.6%に上りました。アンケート結果からも、移住に関する土地柄・住環境・地域コミュニティといった課題をサポートする仕組みとしてADDressが今後、関係人口のみならず移住人口の増加にも寄与していくと考えられます。
長期アウトカム「幸福感をもち生きる人の増加」では、実に83.9%が幸福度の高まりを実感しています。なお、地域を受益者とする場合の長期アウトカム「観光によらない地域のあり方の実現」に関する分析は、次年度以降にまとめる予定です。