こんにちは!インターンの中尾です!

2026年7月23日(木)、京都・聖護院にある築100年を超える京町家「月と」で、オフラインイベント「京都で過ごす、気楽なお茶時間」を開催しました。

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今回大切にしたのは、茶道の作法を完璧に覚えることではありません。

お抹茶を味わい、先生のお話を聞き、自分の手でお茶を点てながら、まずは「茶道って楽しいかもしれない」と感じてもらうこと。

当日は、茶道の本を購入し、事前に勉強してきてくださった参加者もいました。以前から茶道に興味があった方だけでなく、会場である「月と」に興味を持ち、参加してくださった方もいました。

茶道に少し触れたことのある方も、初めて体験する方も一緒になって、京都の町家でゆったりとお茶を楽しんだ午後の様子をお届けします。

京都の町家「月と」で始まったお茶会

会場となった「月と」は、かつてADDressの京都聖護院A邸として、多くの会員を迎えてきた京町家です。

旅館や下宿として人々を迎えてきた歴史を持ち、現在も「人が自然と集い、心がほどける場所」という想いが受け継がれています。

外では夏の京都らしい暑さと祇園祭の賑わいが続くなか、町家の中には畳の香りが広がり、どこか時間がゆっくりと流れているように感じられました。

お茶会は、参加者同士の自己紹介から始まりました。

「なぜ今日のお茶会に参加したのか」「どのようなことを楽しみにしているのか」を、一人ずつ話していただきました。

お茶や京都の文化に興味があったという方だけでなく、以前から「月と」が気になっており、この機会に訪れてみたいと思ったという方もいらっしゃいました。

それぞれの参加理由を知ることで、最初は少し緊張していた会場にも、少しずつ会話が生まれていきました。

「気楽に楽しむ」三谷宗奈先生のお点前

今回、先生としてお迎えしたのは、40年以上にわたり茶道を学び、裏千家(うらせんけ)準教授を務める三谷宗奈先生です。

先生が大切にしているのは、茶道を「気楽に楽しむ」こと。

茶道と聞くと、「作法を知らないと参加できないのではないか」「正座をし続けなければならないのではないか」と、少し身構えてしまう方もいるかもしれません。

参加者からも、始まる前には「もっと堅苦しいものだと思っていた」という声や、「自分でお茶を点てる経験はなかなかできないので、すごく緊張する」という声が聞かれました。

しかし先生は、無理に正座を続けなくても大丈夫だと参加者に声をかけながら、穏やかな雰囲気でお点前を始められました。

三谷先生の温かく親しみやすいお人柄もあり、お茶会が進むにつれて、会場の緊張は少しずつ和らいでいきました。

茶筅(ちゃせん) が茶碗に触れる音や、お湯を注ぐ音。

一つひとつの静かな動きを間近で見ながら、参加者のみなさんも自然と先生の手元に引き込まれていきます。

一つひとつの所作に込められた意味

三谷先生のお話で印象的だったのは、単に「この順番で動きます」と作法を説明するのではなく、なぜその動きをするのかまで丁寧に伝えてくださったことです。

今回は、お茶を味わうだけでなく、茶席で交わされる挨拶や作法も少し体験していただきました。

先にお茶をいただく際には、隣の方に「お先に頂戴いたします」と挨拶すること。

お茶を点ててくださった方には、「お点前(おてまえ) 頂戴いたします」と伝えてからいただくこと。

また、「お相伴(おしょうばん) いたします」という言葉についても、先生から教えていただきました。

初めて聞く言葉や慣れない動きに、最初は戸惑う様子もありましたが、先生が一つずつ丁寧に説明してくださったことで、参加者のみなさんも実際に言葉を交わしながら体験することができました。

茶道の所作には、道具を大切に扱う気持ちや、お茶を点ててくれた方、同じ席にいる方への心遣いが込められています。

決まりを間違えないために覚えるのではなく、その背景にある意味を知ることで、何気ない動作も違って見えてきます。

季節のお菓子とお抹茶を味わいながら、参加者からも茶道や道具についての質問が寄せられました。

先生のお話を聞く時間は、堅苦しい講義というよりも、お茶を囲みながら自然に会話が広がっていくような時間となりました。

今度は自分の手で。お抹茶を点てる体験

先生のお点前を見た後は、参加者のみなさんにも実際にお抹茶を点てていただきました。

茶筅の持ち方や動かし方を教わりながら、一人ひとりが自分のお茶と向き合います。

普段の生活では、自分でお抹茶を点てる機会はなかなかありません。

同じ抹茶や道具を使っていても、泡の立ち方や味わいには少しずつ違いが生まれます。自分で点てた一服を味わうことも、茶道の楽しみの一つです。

最初は「緊張する」と話していた参加者も、先生に教えてもらいながら茶筅を動かすうちに、次第に表情が和らいでいきました。

最後には自然と笑顔が生まれ、参加者同士でお茶を楽しむ姿が見られました。

参加者からは、「自分でお茶を点てる経験はなかなかできないので、よい経験になった」という感想も聞かれました。

うまく点てること以上に、自分の手で一杯のお茶を作り、その時間を楽しむこと。

三谷先生が伝えている「気楽なお茶」の魅力を、実際に感じてもらえる時間になったのではないかと思います。

茶道の入口は「楽しい」でいい

三谷先生が茶道を始めたきっかけは、かつてお茶会のお手伝いをした際、お茶を運んだ相手から笑顔で感謝の言葉をかけてもらったことでした。

名前も知らない人との短い出会いが、40年以上続く茶道との歩みにつながったといいます。

茶道には、同じ時間や出会いは二度と同じ形では訪れないという「一期一会」の考え方があります。

今回のお茶会も、参加者、先生、会場となった町家がそろった、この日だけの時間です。

作法をすべて知っていなくても、お抹茶を飲んで「おいしい」と感じたり、誰かと一緒に過ごして「楽しかった」と思ったりすることから、茶道との関わりは始まります。

茶道の入口は、思っているよりもずっと身近なところにあるのかもしれません。

お茶をきっかけに生まれた出会い

お茶会の終了後には、「月と」の家守であるマヤコさんに、町家の中を案内していただいている参加者の姿もありました。

お茶会をきっかけに「月と」を訪れ、その場所の歴史や魅力にも触れてもらえたことを嬉しく感じました。

今回参加してくださった方の中には、暑いなか祇園祭の鉾を見てから来てくださった方や、遠方から足を運んでくださった方もいました。

興味を持った場所へ実際に足を運び、新しい文化や人との出会いを楽しむみなさんの姿を見て、「行動力があるとは、まさにこういうことなのだな 」と感じました。

普段の生活だけでは、なかなか出会うことのできない年代や背景を持つ方々が、一つの場所に集まり、同じ時間を過ごす。

そのような出会いが自然に生まれることも、ADDressの拠点ならではの魅力だと思います。

参加者のみなさんはとてもタフで、好奇心と行動力にあふれた方ばかりでした。私自身も、みなさんのこれまでの経験や、新しい場所へ飛び込む姿勢に触れ、たくさんの刺激をいただきました。

インターンの私が企画を終えて感じたこと

私自身、中学生の頃から茶道に親しんできました。

一方で、大学生になって京都で茶道を学ぶなかで、「間違えてはいけない」「きちんとしなければならない」と考えすぎ、茶道を少し苦しく感じた時期もありました。

そんなとき、三谷先生の「気楽に楽しめばいい」という考え方に出会い、張り詰めていた気持ちが軽くなりました。

その経験から、茶道に興味はあっても難しそうだと感じている方に、私が先生から教えていただいた「気楽な茶道」を届けたいと思い、ADDressのインターンとして今回のお茶会を企画しました。

自分の好きな茶道を、どのようにすれば初めての方にも気軽に楽しんでもらえるのか。先生と相談しながら、内容や当日の流れを考えていきました。

当日は私自身も緊張していましたが、茶道の本を読んでこの日を楽しみに来てくださったことや、先生のお話に熱心に耳を傾け、自分でお茶を点て、最後には笑顔になっているみなさんの姿を見て、企画してよかったと感じました。

茶道を詳しく学ぶことだけでなく、まずはお茶を囲みながら、人と出会い、同じ時間を過ごすこと。

今回のお茶会は、茶道を体験していただく場であると同時に、お茶をきっかけに、それまで接点のなかった人同士が出会う時間にもなりました。

京都の町家で過ごした今回のひとときが、参加してくださった方にとって、お茶や日本文化にもう一歩近づくきっかけになっていたら嬉しく思います。

ご参加くださったみなさま、会場を提供してくださった「月と」のみなさま、家守のマヤコさん、そして気楽なお茶の魅力を伝えてくださった三谷宗奈先生、本当にありがとうございました。

企画・執筆:学生インターン 中尾

ADDress学生インターン。京都の大学生。日本の文化や食に強い興味を持っています。茶道の世界を気軽に知ってもらいたいという思いから、今回のお茶会を企画しました。