リモートでの仕事、リモートではない人間関係【ADDress会員インタビュー】須田さん

須田愛吏さんは東京の会社に勤めながら、すでにADDressを2年以上利用して全国を周る生活を送っています。

2年というのはちょっとした期間です。無理があっては続かない期間でしょう。事実、須田さんの話を伺っていると、いっさい無理をしているところがなさそうなのです。むしろすがすがしいまでの快適さすら感じます。

たとえば須田さんにはお付き合いをしている方がいます。須田さんの家は東京、お相手の家は姫路なので、本来ならば気軽に会うには遠い距離感です。しかし彼女はADDressの同伴利用制度をうまく活用しています。

須田さんがどのようにADDress生活を送っているのか、特にパートナーの方と2人で周る生活について、お話を伺いました。

一か所にとどまらない暮らしをしたかった

――― ADDressを始めたきっかけは何ですか?

きっかけとしては、2年ほど前に勤めている会社の福利厚生でADDressが紹介されたんです。そのときに法人会員として使いはじめました。いまはその福利厚生が終わってしまったため、個人会員として利用しています。

――― 福利厚生にあったADDressを使ってみようと思ったのはなぜですか?

もともと一か所にとどまって暮らさなくてもいいなと考えていました。同じところでずっと暮らすという感覚がよく分からないんです。ずっと、となると重いじゃないですか。

だから、飽きるまではしばらく住んで、飽きたらまた別のところに移るという暮らしをしたかったんです。

それにADDressを始める前は、コロナでリモートワークになったこともあって、東京の実家に住んでいたんです。実家と同じ東京でひとり暮らしをすることにはあまり惹かれませんでした。

――― 須田さんは生まれも育ちも東京なんですか?

そうです。だけど私のなかで東京育ちってあまりアイデンティティにならないんです。むしろおもしろくないなと思っているんです。関西だと方言があったりするじゃないですか。そういうのに憧れがあるんです。

それに私はそこまで頻繁に買い物をするタイプでもないので、東京ほどお店がたくさんなくてもいいなと。

もっと静かで人が少なくて、最低限のインフラが整っているくらいがちょうどいいと考えていました。

ちょうど会社から紹介されたADDressであれば、サブスクで全国に行けるし、交流もあるということでおもしろそうだなと思ったんです。

それで2020年末に会員になり、実家とADDressを行き来する生活を始めました。

パートナーと一緒に周ることのメリット

――― 須田さんは彼氏さんと2人で周ることもあるんですよね。

そうなんです。彼はフリーランスでデザイナーをやっていて働く場所が自由なので、ときどき同伴利用をしています。

――― 2人でADDressを利用して、良い面はありましたか?

私はよく自炊をするんですが、1人だと食材を使いきれないということが多いんです。たとえば牛乳を1パック買っても、滞在中に飲み切れなかったり。でも2人いれば食材が余ることはほとんどありませんでした。

――― 分かります。食材をいかに使い切るかは困りますよね。

あと、これは私にとってのメリットなんですが、彼が車を持っているので一緒のときは車で周れるのがありがたいです。家に駐車場があったり、もしくはコインパーキングがたいてい近くにあります。

車なら荷物もそこまで減らさずに、調味料やお米、珈琲を淹れる用具一式などを持ち歩くこともできるんです。

――― 行き先は2人で相談して決めるんですか?

そうです。実は彼も私同様、実家とADDressを併用していて。

彼の実家は姫路で、私の実家がある東京とは遠いので、ADDressを使うときに会っているんです。例えば、今度は北関東を周る予定なので、彼が東京に来ることになります。

――― 遠距離恋愛が遠距離ではなくなるのはいいですね。

そうかもしれません。遠距離の感覚はあまりないです。

もちろん、お互いに多拠点生活を良いと思う価値観があり、かつそういった生活が可能な働き方ではないといけないので、その点は恵まれているなと思います。

2人ともリモートワークだからこそ生じる仕事場の問題

――― 逆に2人だからこそ大変なところはありますか?

仕事スペースはやや困るところではありますね。部屋にはひとつしか机がないことが多いので。特に私は営業という仕事柄、テレビ会議が多いんです。

共有スペースがしっかりしている家なら一方がそこで働くことにすればいいんですけど、すべての家の共有スペースが仕事向きとは限らないですよね。だから近くのコワーキングオフィスに行って作業をすることもありました。

あと生活リズムの違いもあるかもしれません。私は会社員なので遅くとも夜1時には寝て朝9時には起きるんですけど、彼はフリーランスなのでだいぶ昼夜逆転しているんです。

私が寝るときにまだ仕事をしているということもあるので、そういう場合はアイマスクをして寝ています。

――― 生活リズムは絶対に合わせた方が良さそうですね。他には何かありましたか?

困るほどではなかったですが、部屋によってはベッドがツインなこともあればダブルなこともあります。ベッドの幅がだいぶ狭いこともあります。

部屋の設備については予約時に確認しておくのもいいかもしれません。

暮らしの質を落とすことなく、地方ならではの出会いを楽しむ

――― お話を伺っていると、須田さんは一か所にとどまらなくても自分の送りたい生活を送ることができているように見えますね。

そうなんです。仕事はオンラインでできますし、食事もむしろ各地のいろんな食べものを食べることができます。

休日は観光というよりも本を読んでくつろいでいることが多いんですけど、そのための図書館やカフェもありますしね。

東京の友達とは普通に会いますし、旅先ではその近くに住んでいる友達と会うこともできます。いろんなところを周る生活に疲れて、一度バランスをとりたいというときは実家に帰ります。なんだかわがままですね。

――― そんな須田さんがある程度とどまってもいいかなと思える場所はありました?

佐賀県の武雄には1年間くらい住んでみてもいいなと思いました。私にとっては図書館と温泉が大事なんですけど、武雄には両方とも揃っているんですよね。ADDressの家自体もきれいで、好印象でした。

だけど、それでも1年間くらいですね。基本的にはずっといろんなところを周っていたいなと思うんです。

――― 一か所にとどまらないことで得られるものには何があるんですか?

思いがけない交流が生まれたり、あるいはこれまで想像もしなかったことを知ることができたりします。

たとえば、宮崎の日南ではスーパーに亀の手が売っていて、せっかくなので食べてみました。お味噌汁にしたんですが、けっこう美味しかったです。

東京で生まれ育った私としては、どれも少しおっかないところがありつつ、でもおもしろい体験なんです。いずれにしても、実際に足を運ばないと分からないことに出会うことができるのはメリットだと思います。

私は特別な期待があってその街に行くというよりは、単にいろんな場所で暮らしてみたいということなんです。ADDressだとその生活が叶いますよね。

好きな時に好きな場所に行けるように全国に家が用意されているので。それがADDressの良いところだと思いますね。

*****

この記事を書いた人

佐伯 康太

神奈川県横浜市出身。 ADDressで日本をざっくり一周し、ご縁のあった静岡県川根本町へ春から移住。町の場づくりに関わりつつ、本を売ったり文章を書いたりします。好きなものは形のいい松ぼっくりです。よろしくお願いいたします。