好きだった料理を仕事にするまで【ADDress会員インタビュー】野崎さん

ひとり暮らしの寂しさを、食事のときにふと感じる。誰しも似たような経験をしたことがあるのではないでしょうか。

ADDressで暮らしていると、ときおり次のような会話が聞こえてきます。

「夕飯、一緒にどうですか?」
「いいですね。出かけるんで食材買ってきますよ」
「仕事早めに終わったら喜んで」
「ちょうど自炊の余りものあるんで、良かったら食べてください」

そして、あれよあれよという間に、にぎやかであたたかい食卓が生まれます。そこでは寂しさは鳴りを潜め、代わりに人のつながりと美味しそうな料理があるのです。

今回インタビューをした野崎真理子さんは、ADDressの食卓を作ってきたともいえる方です。

野崎さんは、得意な料理の腕を活かして、全国の家で出会った会員に向けてたくさんの料理をふるまってきました。いまや彼女のその活動はMariko’s Kitchenとして親しまれています。そして、今年の5月、ついに自らの店を開きました

今回のインタビューでは、彼女がADDressを始めてから料理の道に進むまでにどんな出来事があったのかを中心にお話を伺いました。

本当に自分が暮らしたい場所を知りたかった

———— 野崎さんはなぜADDressを始められたんですか?

きっかけはコロナが流行り出したことです。それまで東京に住んでいたけれど、仕事も飲み会も全部zoomでできるようになって「高い家賃を払ってまで東京に住む意味があるんだろうか」と思って。それで2020年7月1日にADDressを使いはじめました。

あと、自分が本当に暮らしたい場所はどこなのかを知りたいという気持ちも大きかったです

そもそも自分は宮崎出身で、東京はあくまで結婚を機に出てきたという形だったので。

ADDressで全国を周り、観光ではなく、その地域の暮らしとか風土とか、もっとディープなことを感じて、どこに住むかを決めようと考えていました。

———— 他の住み放題サービスもある中で、ADDressを選んだのは「暮らし」に近いからということですか?

そうですね。あと、予約サイトで見た家の写真がとても素敵だったんです。南房総A邸の写真を見て「これヤバ」って。

他のサービスも利用したことあるんですけど、人と交流が少なかったですね。私は交流も求める方なので、ADDress向きだったんだろうなと思っています。

会員や家守との交流が料理の機会をくれた

———— 料理はもともと好きでやられていたんですか?

好き、でしたね。飲食店に勤めたりしたことはないですが、よく作ったりはしていました。

あと、母親の癌が再発して、標準治療を受けずに食養生をすることになったんです。そのときに料理を独学で学びました。

———— 料理を仕事にしたいと思ったきっかけはありますか?

きっかけは、ADDressなんですよ。料理を作る機会が増えて、ますます好きになりました。

私は神奈川県にある小田原A邸の専用ベッド契約者だったんですが、小田原A邸に来た会員さんにふるまう機会がたくさんあって。また、全国の家に行ったときも他の会員さんに作ったりしました。

会員さんにふるまうことが続き、2021年4月に「Mariko’s Kitchen」という名を掲げました。

そのころから「これからは飲食の仕事をやっていきたい」と考えはじめていました。その考えを聞いた会員さんの紹介もあって、香川県の三豊や神奈川県の真鶴にあるカフェでランチを作る機会をいただいたんです。場数を踏ませてもらえたことで、自信がついてきたというのはあるかもしれません。

———— 「たらぎつながるDAYS」にも料理の講師として出られてましたね。

※「たらぎつながるDAYS」:一般財団法人たらぎまちづくり推進機構とADDressが提携し開催する関係人口創出イベント。野崎さんは2022年1月に「球磨焼酎に合う「SDGsおつまみ開発」」の講師として登壇

ADDressおつまみ開発部の部員だったのもあって、お声がかかりました。

ただ、他の講師の方は皆さん講師などの経験がある方だったので、そうした経験がなかった私にとっては相当大きなことでしたね。

参加をきっかけにして、自分のレシピをまとめることを初めてやったんです。いつもは、感性でババッと作ってしまうタイプなので。これはタメになったと思うことの一つですね。

———— 最終的に料理を仕事にすると決めた瞬間はいつだったんですか?

「知人が料理を作る人を探している」という話を、小田原C邸家守さんが紹介してくださいました。それが今年の2、3月ごろです。

なかなか決断できませんでしたが「料理の道で生きていきたいな」とは思っていたので、5月に「挑戦しよう」と決めました。

みんなに頼られるお惣菜屋さんになりたい

———— いまされている料理のお仕事について教えてください。

お惣菜屋さんをやっています。3人の経営者さんが共同出資して経営しているところに間借りさせてもらっている感じです。火水以外は毎日開けています。まだまだ多いとは言えませんが、地元のお客さんが来てくれます。イートインで食事される方と、お惣菜をテイクアウトする方がいますね。

※インタビュー当時。2022年8月末で営業終了

お惣菜屋さん以外には、オンラインで秘書業も続けています。

———— お惣菜屋さんをやってみていかがですか?

始めてから2か月ほど経ちましたが、料理している時間は本当に楽しくて、ゾーンに入っている感じですね。

お食事って誰もが1日3回程度は食べないといけないじゃないですか。でも、作るための時間はなかなかないですよね。みんなそれぞれ、子育てや趣味や仕事などやりたいことがありますしね。

「私が作るから、頼ってほしいな」って思います。特別な料理はできないですが、みんなの代わりに料理をすることはできます。私が作ったお惣菜を家で団らんしながら食べてもらうということは、とても意義があると思っています。

その思いは、ADDressの家でMariko’s Kitchenとして料理をしていたときから変わらないですね。Mariko’s Kitchenは、お惣菜屋さんとは別に、どこかで続けていきたいなと考えています。今まで通り、材料費だけはみんなで割って、私が作って、みんなで楽しく食べるスタイルで。料理に対してお金をもらうだけだと、大事なものがなくなっちゃう気がするんです。

人に惹かれて神奈川県の西湘エリアに定住する

———— ADDressを始めた理由が暮らす場所を探したいからということでしたが、見つかりましたか?

いまは西湘エリアに住んでいるんですが、ここは本当に気に入りました。いろんなところを見ても西湘以上の場所はなくて。小田原A邸の専用ベッドに2年間も住み続けられたのも、このエリアが好きだからだと思います。

———— 好きになる場所にはどんな要素があると思いますか?

やっぱり人の要素が大きい気がします。

といっても、旅行で行くと、お店の人に話しかけるとかは難しいんですよね。勝手によそ者だと感じてしまってるのかもしれないですけど。

その点、ADDressで暮らすとなると、もうグイグイいけちゃって。ADDressという、お店の人も興味を示してくれるネタを持っているから、なんだか話しやすいんですよね。

ADDressという共通のネタがある安心感

———— ADDressを使うかどうか悩んでいる方へメッセージをいただけますか?

ゲストハウスやシェアハウスの経験がなかった私でも楽しめたので、そこまで心配しすぎなくてもいいと思います。

もちろん、最初、共同生活は不安でした。でも、自分からコミュニケーションをとっていく中で、不安も消えていきましたね。コミュニケーションに対する積極性はそこで学んだかもしれません。

ADDressという共通のネタを活かして話しかけると上手くいくはずです。「始めてどれくらいですか?」みたいに。共通の話題があるのは安心感につながるんですよね。初めて会ったばかりの会員同士で、一緒に銭湯に行ったりお酒を飲んだりできるのは、ADDressという共通の話題があるからだと思います。

あと、まず各家にいる家守さんとコミュニケーションを取ると安心感がありましたね。事前に家守さんが拠点周辺の情報をメールで送ってくれていても、あえて直接聞きに行くとか。仲の良い家守さんも「コミュニケーションをたくさんとってよいのか、仕事などがあるのでそっとしておいた方がよいのかよく迷う。話しかけてくれると、安心して話せる。」とおっしゃっていたので、ぜひ一歩踏み出して自分から話しかけてみてほしいです。

家守さんたちは、ちょっと変わった経歴の方や地域愛の強い方などユニークな方ばかりなので、どの方とお話ししても新しいことを知ることができて楽しいですよ。小田原A邸家守の平井さんは、小田原についてだったら喜んで3,4時間は話してくれるはずです笑。

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この記事を書いた人

佐伯 康太

25歳・神奈川県横浜市出身。 旅をしながら、作家・ライターと選書家を志して活動してます。 ADDressは、地域や日本のことを直に見て知らなければならないと考え、2021年9月より利用。道に迷っても「どこかには着くから」と地図を見たがらない困った癖があります。