日本の豊かな風土と職人の技が育んだ、個性あふれる「焼き物」。その土地の土に触れ、作り手の想いがこもった器と出会う旅へ出かけませんか。あなただけの一品が、きっと見つかります。
益子焼(ましこやき)は、ぽってりとした厚みと、土の風合いを活かした素朴な温かみが魅力です。伝統的な釉薬の色合いに加え、若手作家によるモダンなデザインも多く、日常に馴染む普段使いの器として親しまれています。その温かみのある質感は、煮物や豚汁など、日々の家庭料理を一層おいしく見せてくれます。
九谷焼(くたにやき)は、「九谷五彩」とよばれる赤・黄・緑・紫・紺青の5色を使った、豪華絢爛な色絵が特徴の磁器です。花鳥風月を大胆かつ緻密に描いた器は、食卓だけでなく飾り皿としても空間を華やかに彩ります。ハレの日の食卓を華やかに演出し、お刺身の盛り合わせや季節の和菓子などを美しく引き立てます。
美濃焼(みのやき)は、日本最大の陶磁器産地で、「特徴がないのが特徴」と言われるほど多様な作風を誇ります。格式高い茶器として知られる「志野」や「織部」から、現代の食卓を彩るカラフルな食器まで、あらゆるニーズに応える器が見つかります。和洋中どんな料理も受け止める懐の深さが魅力で、毎日の食卓でジャンルを問わず活躍してくれます。
瀬戸焼(せとやき)は、陶磁器を指す「せともの」の語源となった、千年以上の歴史を持つ焼き物です。古くからガラス質の釉薬(うわぐすり)を用いており、美しい貫入(かんにゅう)が入ったものや、趣のある色合いの器が多く作られています。上品な風合いは、出汁を効かせたお吸い物や、素材の色を活かした和え物など、繊細な和食と相性抜群です。
備前焼(びぜんやき)は、釉薬を一切使わず、高温でじっくりと焼き締める日本で最も古い焼き物の一つです。土の成分や窯の焚き方によって変化する「窯変(ようへん)」が生み出す景色は、奥深く、使い込むほどに味わいを増していきます。ビールの泡をきめ細かくし、日本酒の味をまろやかにすると言われており、使い込むほどに料理が映える、まさに「育てる器」です。
小石原焼(こいしわらやき)と上野焼(あがのやき)は、福岡県を代表する焼き物です。小石原焼は「飛び鉋(とびかんな)」のリズミカルな模様が特徴的な生活雑器で、一方の上野焼は薄くて軽い造形と多彩な釉薬が魅力の茶陶として知られています。小石原焼の温かみは煮込み料理や素朴な一品料理に、上品な上野焼は香り高いお茶や和菓子に、それぞれの食のシーンを豊かにします。
有田焼(ありたやき)と波佐見焼(はさみやき)は、隣接する地域で作られる日本を代表する磁器です。有田焼は伝統的な絵付けが美しい「美術品」としての側面も持ちますが、波佐見焼は時代に合わせたモダンなデザインが多く、日常使いの「暮らしの器」として人気を博しています。特に波佐見焼は、パスタやワンプレートごはんといった現代の食生活に寄り添うデザインが豊富で、日常の「おいしい」を支えてくれます。
やちむん(やちむん)は、沖縄の言葉で「焼き物」を意味し、ぽってりとした厚みと、おおらかな絵付けが魅力です。沖縄の土を使い、伝統的な登り窯で焼かれた器は、南国らしい生命力にあふれ、日々の食卓をあたたかく、そして力強く支えてくれます。ゴーヤチャンプルーやラフテーなど、沖縄の力強い家庭料理を盛り付けるのに最適で、おおらかな絵付けが食卓を楽しく賑やかにします。