夏を越した酒がまろやかに目覚める、9月の「ひやおろし」解禁。酒だけでなく、醤油・味噌・ぬか漬けまで、その土地の水と気候が育てた発酵文化に会いに行く秋の旅へ。蔵の香りが漂う町に、暮らすように泊まる。
八郎潟の干拓地に広がる米どころで、酒・味噌・醤油をひとつの蔵元が造り分ける珍しい町。レンガ造りの蔵が今も現役で、日本海側気候の長い冬が生む低温発酵が、秋田の酒のやわらかさを育てています。
福島県は全国新酒鑑評会の金賞受賞数で全国トップクラスを走り続ける、知る人ぞ知る酒どころ。阿武隈川の伏流水と会津・中通りの寒暖差が生む端麗な酒を、蔵が点在する中通りエリアを巡りながら味わえます。
江戸川と利根川に挟まれた水運の要衝で、江戸の食文化を支えてきた醤油の町。大手メーカーの工場見学では、麹づくりから諸味(もろみ)の熟成まで発酵の全工程を間近に見られます。醤油ソフトクリームもお楽しみに。
豪雪地帯の雪解け水と、県内約90という日本一の蔵数を誇る新潟。駅併設の施設では県内各蔵の酒をずらりと利き比べでき、ひやおろしの飲み比べにこれ以上ない拠点です。紅葉の谷川連峰散策と合わせて。
海に囲まれた島でありながら、佐渡には個性豊かな酒蔵が点在します。トキが舞う田んぼで穫れた米と、島の水だけで醸す「島酒」は、その土地でしか味わえないもの。港町の魚介と合わせる一杯は格別です。
富山湾越しに立山連峰を望む漁師町。イワシを糠と塩で数年漬け込む「こんかいわし」は、保存食が発酵の旨みへと変わった北陸ならではの知恵です。秋は寒ブリ前の魚も脂がのり、地酒との相性が抜群。
眼鏡産業で知られる鯖江ですが、市内には全国的な評価を得る酒蔵も。若狭から続く鯖街道沿いの土地柄、鯖を糠漬けにした「へしこ」も名物です。塩気と発酵の旨みが、冷や酒をどこまでも進ませます。
中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地は、内陸性気候の寒暖差が大きく、味噌の仕込みに理想的な土地。米麹をたっぷり使う信州味噌の蔵見学や、そばと地酒を巡る秋の伊那路歩きが楽しめます。
古い町並みの通りに、杉玉を吊るした造り酒屋が軒を連ねる城下町。飛騨の寒冷な気候と豊富な雪解け水が、こくのある酒を生みます。10月の高山祭と合わせれば、祭り酒という最高の口実つきです。
桃山丘陵が育んだ「伏水(ふしみず)」と呼ばれる軟水が、灘の男酒に対する「女酒」を生んだ、日本を代表する酒どころ。酒蔵の白壁が並ぶ濠川沿いを歩き、記念館で利き酒をする一日を。
但馬・南部と並ぶ日本三大杜氏のひとつ、丹波杜氏を輩出してきた土地。霧深い盆地の気候が黒豆や栗を育て、酒造りの技も磨いてきました。秋は丹波栗と黒枝豆が最盛期、地酒とのマリアージュを。
山陰の小京都と呼ばれる城下町の殿町通りに、老舗の酒蔵が今も残ります。出雲は八岐大蛇(やまたのおろち)神話に酒が登場する、日本酒発祥の地とも言われる土地。神話と酒を辿る旅ができます。
錦川の清流が育む酒の町で、世界に知られる銘柄から城下町の老舗蔵まで揃います。錦帯橋を渡って岩国寿司をつまみ、温泉に浸かってから一杯という、秋の贅沢な一日が組み立てられます。
筑後川がもたらした肥沃な平野で、酒・醤油・玉露が育つ発酵と発酵茶の町。白壁の町並みが残る八女福島には老舗の酒蔵が構え、蔵開きの季節でなくとも直売所で秋の酒に出会えます。
全国の吟醸酒造りを変えた「熊本酵母」発祥の地。さらに、灰持酒(あくもちざけ)という製法で造られる赤酒は、正月やお屠蘇に使われる熊本独自の伝統酒です。阿蘇の伏流水が支える酒文化を訪ねて。
国内屈指の麦焼酎メーカーが本拠を構え、蔵見学もできる町。日本酒とはまた違う、麦麹の発酵が生む香りを体験できます。宇佐神宮の参道を歩いてから、地元の居酒屋で飲み比べるのが正解です。